ガイアクルセイダーズ オリジナルサウンドトラック

ノイズファクトリー公式サイト上にて少数限定で販売された、「ガイアクルセイダーズ」のサウンドトラックです。
「ガイアクルセイダーズ」とは1999年に開発された業務用の横スクロールアクションで、主に海外市場向けに販売されたため、国内での知名度は非常に低いタイトルです。もちろん、自分もプレイしたことはおろか、画面すら見たことがありません。
作曲者は同社開発タイトルの楽曲製作でおなじみの田中敬一氏。ライナーノーツによれば、田中氏がストリーム音源で製作した最初の作品ということで、記念碑的なサントラと言えるのではないでしょうか。
田中氏の楽曲では、ラップなどのサンプリング・ボイスを多用した作品が多く見られますが、この手法が本格化されたのも「ガイアクルセイダーズ」が最初で*1、現在に比べるとボイスの使われ方が若干控えめで、実験的な雰囲気がするのもポイントですね。


収録曲全体としては、中国風の雰囲気を意識した曲調が多く、ゲーム全体のイメージを牽引。特にプレイヤーへの”掴み”の部分となるエリア1の「Asian Mix」は、いかにも中華風な雰囲気のメロディをテクノPOP調にアレンジした、メインテーマとも言える曲。中華風ではあるけれども、そこを強調しすぎないバランス感覚が良いですねえ。
「Formidable Enemy In China」も中華系サウンドですが、こちらはボス戦用BGMだけあって高揚感があり、京劇の曲のようなテンポの良さが特徴。この曲が一番中国風かも知れませんね。
エリア4の「Chinese Magic」は「Asian Mix」と同系統の曲ですが、こちらはより落ち着いたムーディーな雰囲気が魅力。イントロのウィスパーボイスと民俗音楽風のコーラスの効果も絶妙です。
中華風の雰囲気の流れが変わるのがエリア5の「The Town Of Ruins」で、バッキングのディストーションギターに田中氏らしさが表れている現代風(?)の曲に仕上がっております。とくにラップ系サンプリングボイスの使い方が大胆で、田中氏の作品群の中でも特に興味深い1曲ではないかと思います。
興味深い曲といえば「The End Of Anger」もその一つです。何故”興味深い”のかといえば、ギターがメインの曲だから、というただ一点。ギタリストとしても相当な手腕を持っていると思われる田中氏ですが、これまでの作品ではギターサウンドはあくまでもバッキングがメインで、ギターをメロディに据えた曲は意外にも少ない。そういった意味で、この曲は貴重な曲と言えるのではないでしょうか。
ゲームの山場であるエリア7の「Interser」は、緊迫感を物語るようなストリングスとブラスの演出が、臨場感を醸し出していて○。Bメロ〜サビにでんちゅう節が色濃く反映されていると思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。
ラスボス戦の「False Figure」「True Character」は、「Interser」から更に緊迫した空気を展開させた曲調で、3曲をメドレーで聴くと大変盛り上がりますね。
そして迎えるエンディングの「Sence Of Accomplishment」。ブラスで壮大かつ勇壮に奏でられるAメロから、切ない胡弓のBメロへの展開が熱い。そして豪快な銅鑼で締められるサビが素晴らしく、また泣けます。田中氏のED曲は名曲が多いですが、「Sence Of Accomplishment」も味わいのある逸品ですね。
「ガイアクルセイダーズ」は限定販売のため現在は入手不可能ですが、今作を聴いたら、戦国伝承2001、レイジオブザドラゴンズなど、一連の作品を通してみることをオススメいたします。田中氏の楽曲やでんちゅう節について、新たに発見があるかもしれませんよ?



「ガイアクルセイダーズ」はマイナーな作品だっただけにサントラ化は絶望的でしたが、名曲の数々が埋もれることなく、CDとしてリリースされたことについて感謝したいです。
ただ惜しむらくは、収録時間があまりにも短かったということ。開発当時のハード性能によって制限されていたので仕方のないのですが、名曲が多かっただけに、もっと長い尺で聴きたかったですね。
今作はやや昔の作品でしたので、現在の田中氏の解釈によるアレンジバージョンなども収録されていたら、違う角度からも楽しめたのではないかと思いますが、これは贅沢すぎるかも知れませんね。


ゲームの発売時期や知名度に関わらず、自社のサウンドをCD化していこうというノイズファクトリー社の取り組みは素晴らしいの一言。
今回の「ガイアクルセイダーズ」に留まらず、全タイトルをサウンドトラック化するくらいの意気込みで、今後も活動していただきたいですね。
今更ですが、oz-skはノイズファクトリーを応援しています。

*1:歌物では豪血寺がありますが、サンプリングボイスを取り入れ始めたのはガイアが最初なんじゃないかなー、と思います