新豪血寺一族〜煩悩解放〜サウンドトラックCD(ゲームソフト初回特典)

2003年にネオジオで登場した「新豪血寺一族〜闘婚〜」から3年、PS2でリニューアルされた新豪血寺が、新アレンジを引っさげて「煩悩開放」として帰ってまいりました。
今回は、ゲームソフトの特典として同梱されているサウンドトラックを取り上げます。


さて、今回のCDは、闘婚の代表曲4曲のフルコーラスアレンジを収録。
比較的人気の曲が多いことから、以前ノイズファクトリーの公式サイトで実施された人気曲アンケートの結果に基づいて選曲されたと思われます*1
作・編曲は、豪血寺サウンドと言えばもうお馴染みの、田中敬一氏です。
闘婚OSTのブックレットでも「フルコーラスバージョンを作りたい」とコメントされていましたが、今回の楽曲のクオリティから察するに、相当な意気込みであったと思われます。
ボーカリストやコーラスメンバーの変更が一部あるものの、オリジナル版・アレンジ版それぞれの味わいがある仕上がりになっていますので、聴き比べてみると面白いと思います。


レッツゴー!陰陽師
豪血寺2の名曲「坊主でダダダ!」の流れを汲み、”ユーロビート陰陽師”という分かりやすい(?)コンセプトで、前述のアンケートでも常に上位に君臨していた人気曲。
ついにフルコーラスで登場である。
この曲のアレンジを待っていた方も多いのではないのでしょうか。
コーラス陣は替わったものの、メインボーカルの琴姫&矢部野彦麿*2のパワーは相変わらず。
冒頭に"胡散臭さ"を助長させるようなナレーションが加わっているのが印象的で、これには笑わすには居られません。
ダンサブルでアップテンポな曲調はそのままに、より弾け飛んだ素敵チューンにアレンジされており、オリジナル以上のインパクトを持った曲になっています。
そこに、フルバージョン用として完成された歌詞が加わり、豪血寺ワールドの全てが凝縮されたといっても過言ではないくらいの、強烈な曲に昇華しているのではないでしょうか。
なにより、矢部野彦麿役を自ら務めている田中氏の熱演振りが素晴らしく、オリジナル版にも増して迫力のある陰陽師ボイスは、かなり聴き応えがあります*3
インパクトといい、知名度といい、もはや新豪血寺の看板曲と言っても良いかもしれませんね。



・ときめきオーバークロック
秋葉原と自作パソコンをテーマにしたアイドル風のPOPソング。
この曲もキャッチーな曲調とインパクトのある歌詞で、アンケートでは人気がありましたね。
ボーカルの秋葉原3人娘はメンバーが全員交代しているらしく、オリジナル版よりも若干ながら歌唱力が上がっている感じがします。
限りなく素人っぽい雰囲気が魅力のオリジナル版と、若干上手いような気がするけど速成訓練で歌わせた雰囲気がむしろアイドルっぽいフルコーラス版、ともに味わいがあるので、甲乙付けがたいですね。
補足情報としてボーカルにノイズファクトリーの社長*4が自ら参加しているという情報もあり、かなりマニアックな1曲になっているかと。



・貧乏人間カネナイジャー
ネガティブな歌詞でありながら、ヒーローチックでめげない雰囲気の曲調が救いの1曲。
不幸を一身に背負ったカネナイジャーの孤独な戦いが、今ここに蘇る!
この曲で最も興味深いのは、オリジナルに比べて一層悲しく切なくなった歌詞です。
1番、2番と進むにつれて深刻になる、苦難に満ちた境遇の歌詞を切々と歌い上げるカネナイジャーには、同情を禁じえません。
そこに容赦なく入る少年少女合唱団のツッコミは、残酷そのもの。
それがまた面白いんですよねぇ。
しかしながら、楽曲の方はカネナイジャーの悲哀を跳ね返すように格好良くアレンジされているのが、なんとも興味深い。
フルコーラス版のバッキングで、オリジナル版以上に盛り上がっているトランペットとストリングスと対照的な歌詞の悲しさのギャップが、この曲の面白さを一層盛り上げています。
切ないけど面白い、なんとも複雑な曲ですね。



・ボクラノヒミツ
これは、闘婚の初版サントラに収録されていたフルコーラスバージョンですね。
たしか、初版サントラの田中氏のコメントで「趣味で作った」としていた曲でしたが、今回晴れてゲームに収録されました。
ウクレレとシンセをメインにした癒し系サウンドと、地球人のエゴに悩まされてる宇宙人を表現した絶妙な歌詞が素晴らしい曲でしたが、実は歌詞のほうは、サダ吉たちが表面上は友好を装いながらも腹の底では侵略を企んでいるということが発覚(笑)。
ラストのSEがその企みを物語っているらしいので、初版アルバムで聴けなかった方は、ぜひコチラで聴いていただきたいですね。


アレンジされた楽曲を一通り堪能したら、魅力満点の歌詞にも注目していただきたい。1曲ごとに世界とストーリーが完成されており、田中氏自身の高い作詞力には脱帽です。いずれもキャッチーなので、CMソングにも採用されてもおかしくないのではないでしょうか。
歌詞自体は闘婚製作時に2番まで作ってあった、ということでしたので、今回フルコーラス化が叶わなかった曲の歌詞だけでも発表していただけると、ファンとしては嬉しいですね。


今回のサウンドトラック、フルコーラス版4曲のみの収録でしたが、ラスボス戦など、煩悩開放書き下ろしの新曲もありましたので、そういった曲も収録されれば、一層価値が上がったのではないかと思います。
今回収録されなかった曲については、フルコーラス化されていない曲のアレンジも含めて、別の機会にCD化していただきたいですね。
機会があれば、ですが、、、。

*1:現在アンケート結果は閲覧不能

*2:彦麿役は田中氏ご本人

*3:収録後、2の時のように扁桃腺は腫れませんでしたでしょうか。ご無事をお祈りしております

*4:某雑誌の豪血寺2インタビュー記事とクレジットが一緒であった