SNK PLAYMORE Slot Panic Sound Tracks


SNKプレイモアが発売したスロット盤面3機種「龍娘〜DRAGON GAL〜」「メタルスラッグ」「THE KING OF FIGHTERS」のサウンドトラック。
ネオジオをメインとしたアーケードゲームでは、元新世界メンバーがメインとなってハイクオリティなサウンドを提供していますが、果たしてパチスロではどのようなサウンドを展開するのか?
普段、スロットをプレイしない私ですが、興味本位で購入してみました。


全体の印象を俯瞰すると、収録曲のほとんどがジングルで占められており、BGM的なものはボーナスゲーム中に流れる音楽のみ。
ポジティヴかつハイテンションな曲調が主流で、期待感や射幸心を煽る雰囲気に満ち溢れており、劇伴音楽の要素が強い昨今のゲームミュージックとはかなりギャップがありますね。
しかしながら、低音を抑え目にして高音域の音色を多用することで通音性を高め、音響環境の劣悪なホール内でもプレイヤー・ギャラリー双方にアピールするという音楽設計は素晴らしいの一言。
基板やソフトウエアの音源がいくら向上しても実際に聴こえなければ意味が無いのですから、アーケードゲームサウンドに於いても、こういったパチスロサウンド面でのアプローチを見習って欲しいものです。
パチスロに普段から触れていらっしゃる方にしてみれば、「何をいまさら」と思われるかも知れませんが、パチスロミュージックとゲームミュージックとは似て非なるものである、と言うことを今回のCDで勉強させていただきました。


少々話が逸れましたが、各タイトルの楽曲は、ゲーム内容に沿ったモチーフをベースにしながら、オリジナル曲から出典ゲームタイトルの楽曲のアレンジまで、かなりバラエティに富んだ内容になってます。


・「龍娘〜DRAGON GAL〜」
スロットオリジナルタイトルなので、当然曲もオリジナル。銅鑼や胡弓の音色を多用しつつ、トランス風のビートも利かせながら「中華」というステレオタイプで最大公約数的な中華サウンドで、ゲームを演出しています。全編に渡ってハイテンションで、妙に耳に残りますね。


・「メタルスラッグ
ネオジオの名作アクションをスロットに移植。こちらは原作のBGMをスロット向けにアレンジしたものを採用しており、主に3からの流用となっております。アレンジといっても、前述したように高音域を強調したりループパターンを変えてジングル風にしているだけなので、原曲との違和感は殆どありません。
オリジナル曲の方は、オケヒットなどを多用してそれらしく作っているものの、やはり原曲に比べるとインパクトが薄くなっているように感じられます。音楽としては及第点というところでしょうか。


・「THE KING OF FIGHTERS
いまやSNKプレイモアの看板タイトル、KOFのスロット移植版。楽曲もKOFシリーズからのアレンジが主流か、、、と思ったのですが、意外や意外、ほとんどオリジナル曲のようです。KOFのイメージとは結びつかない曲もあるものの、ディストーションギター等の音色がKOF風の雰囲気を醸し出しており、イメージ的には'99〜2000あたりをモチーフにしている感じがします。
楽曲自体はキャッチーな曲が多いので、尺を長くして本家KOFに音楽を逆移植するような展開も面白いかもしれませんね。



旧SNK時代には、アルゼの大花火シリーズをゲーセン向けに移植した筐体や、スロット版サムライスピリッツを発売するなどの実績があり、プレイモア体制ではスロットオリジナルのタイトルもリリースするなど、パチスロ事業にも注力しているので、今後の展開が楽しみですね。
ビデオゲームパチスロ双方のサウンド開発によってクオリティアップを図り、今後もより良い音楽を提供して頂きたいです。


サントラそのものに関していえば、ほぼ全曲収録で効果音付き、高音質でしかも低価格と非常に優秀ではありますが、ライナーにはスロットのサウンドスタッフのクレジットが無く、オリジナルタイトルの曲を作られた方が分からないというのが、残念ですね。
パチスロアーケードゲームと違ってスタッフロールは無いですし、今回のサントラの購買層はスロットファンとゲームミュージックファン半々くらいと思われるので、ライナーノーツを一層充実させて、GMファンにも配慮していただきたかったです。


と、無難に締めてみました。
パチスロやらないので思い入れが無い分マイナス、ということで、6点。
厳しいかな?