虫姫さま オリジナルサウンドトラックス


ケイブのシューティング「虫姫さま」のオリジナル楽曲に加えて、ロケテスト版BGM、モバイル版の外伝BGM、そしてスーパースイープのメンバーによるアレンジも収録したCD。
虫姫さま」本編の作曲を担当したのは並木学氏と岩田匡治氏。
並木氏はバトルガレッガ怒首領蜂大往生、岩田氏はレイディアントシルバーガン蒼穹紅蓮隊などの作曲に携わっており、シューティングゲームの作曲経験が豊富で、今回の作品でも両氏の作風を醸し出しつつ「虫姫さま」の世界観とゲーム性を演出しています。


虫姫さま」のイメージ曲はゲームに先駆けて発表されており、去年発売された「エスプガルーダO.S.T.の最後に”Dynasty”というタイトルで収録されていたということをご存知の方も多いはず。
この”Dynasty”をモチーフにして作曲されたのが、本作のメインテーマとも言えるstage1”シンジュが森へ”で、”Dynasty”のサビのキャッチーなメロディを引き継いで明るくポップにアレンジされており、主人公のキャラクター性が存分に反映された曲になっているのではないでしょうか。メロディの端々に”さんたるる節”が感じられ、特徴的なメロディ展開におのずと作風が表れているのが感じ取れます。前者と後者ではA・Bメロが大きく変わっており、イメージも対照的なので、両方のサントラを聴く機会があれば、比較してみると面白いと思います。
前述の”シンジュが森へ”をモチーフにした楽曲をピンポイントで使用することで、並木氏・岩田氏の間での楽曲の統一感を出すことに成功しており、特にStege2”更に砂漠を越えて”、Stage5”森のずっと奥の方”、LastBoss”鎮魂の空”で顕著に感じられます。
一方、Stage3”炎の大地を歩く”、Stage4”流星の夜に似た”では、メインテーマのモチーフを離れた曲を配して、ゲーム全体の楽曲の流れに緩急を付ける構成は、並木氏や岩田氏の担当したシューティングのサウンドではお馴染みで、曲調のみならず全体の楽曲設計にも特徴が表れているのには驚きですね。


スーパースイープがアレンジした3曲は、それぞれアレンジャーの個性を発揮しながら原曲の雰囲気を尊重しつつ最大限にイメージを膨らませた、三者三様のアレンジになっていますね。
細江氏の”シンジュが森へ”のアレンジはテクノポップで原曲との違和感の無い仕上がりにアレンジでいます。原曲のイメージとアレンジの方向性が見事にマッチした、お手本ともいえるような作品。
佐宗氏は”炎の大地を歩く”をオーケストラ系のサウンドを駆使して荘厳なイメージを醸し出しつつ重厚に纏め、ナムコ時代の大型筐体の作品などを彷彿させます。
坂本氏(漢字合ってますかね?)が担当した”流星の夜に似た”のアレンジは、原曲よりもテクノポップ色が強くなっているのですが、メロディラインがさらに明確になっているので、非常に聴きやすく編曲されているのではないでしょうか。


ゲームミュージックファンには幅広くオススメ、、、といいたいところですが、今回紹介した「虫姫さまO.S.Tも含め、ケイブのサントラは現在すべて完売しているので、出来ることなら受注生産かもしくは一般ルートでの販売で、多くのユーザーが手に出来るような体制にして欲しいところです。
再販への期待も込めて9点。